鹿革の表面は周囲の光を集めて吸収してしまい、藍色なのだが小さな暗闇のよう。そこに艶やかな漆の粒子がふわりと浮き上がっているように見えます。
まるで宇宙空間のような深みを感じさせます。
口を絞る紐は生糸を使用しています。
裏地は目の細かい濃紺の木綿、ポケットが一つ付いています。
当初の心配事は、鹿革の上に乗っている厚手の漆がはげ落ちてしまうのではないかということでした。
十年使用しました。はじめは恐る恐る使っていましたが、1ヶ月もした頃から漆のことは気にならなくなってしまい、普通の便利な袋として使いました。鹿革の表面には薄っすらとテカリが出てきています。
今になって眺めすかすように調べてみると、漆にはヒビが入っていて、数箇所は小さく禿げているところは確かにあります。しかし注意深く見ないと分からない程度です。
繊細でありながら何とも丈夫な道具です。
鹿革に食い込むように漆が施されていて、職人の長年の知恵と気迫を感じます。
紐は擦れで痛みが見えてきました。その内に紐だけは交換しようと考えています。
余談です。
この合切袋、写真にある通り名入りです。
発注の時、名入れの価格を勘違いしておりました。袋が届いた時に商品に満足しましたが、同封されていた明細金額を見て驚きました。
名入れの価格と商品の価格がほぼ同じだったと記憶しています。
価格のせいもあるでしょう。この十年、印伝の合切袋を使っておられる人は時折見かけますが、名入れをお持ちの方にはお会いしておりません。
自慢のタネにしております。
ありがとうございます。
0 件のコメント:
コメントを投稿