幼いころ、夕方になると両親、兄弟と近くの銭湯に通ったものです。
洗面器にタオル、垢すり、石鹸などを入れて、もちろん着替えも持って。
石鹸が洗面器の中でカラカラ鳴るといえば歌の脇役にもなった光景で、薄暗い街角なども重ね合わせて思い出されます。
石鹸は底に水抜きの小さな穴の開いたプラスチックケースに入っていました。家の中でも石鹸の置き場所は、似たようなケースであることが多かったのではないでしょうか?
ケースの蓋の部分を返して底の側にはめますので、蓋にはいつも濁った水が溜まっていました。
その水を捨てる時、ちょっと汚いなぁ、などと思ったものです。
さて、剣山のようにも見えるこの商品、実は石鹸受けであります。
シリコンでできた剣山は中央部分が緩やかにへこんでいて、その緩いカーブに沿って針の先端が斜めに傾斜しています。その全体形状で優しく石鹸を受け止めます。
石鹸を使用した後、濡れた石鹸を剣山の上におきます。余分な水分は針を伝って下に流れ落ち、石鹸は剣山の上で乾燥していきます。
濡れた石鹸の表面を傷つけない程度の柔らかさとしなやかさを実現するための神経の細やかさが、シリコンの長さ、太さ、密度と先端の形状に表れています。
昔の石鹸のカラカラと鳴る切なさはありませんが、こんなところに小さな優しさを表現することができるのだと、この石鹸受けを見るたびにうれしくなります。
ありがとうございます。
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